【新人薬剤師・薬学生向け】CcrとeGFRの違いをやさしく解説!〜腎機能をどう読み取る?〜
こんにちは!今回は、薬剤師として日々の業務で必ず関わる「腎機能評価」の中から、Ccr(クレアチニンクリアランス)とeGFR(推算糸球体濾過量)の違いについて、分かりやすく解説します。
「どっちが正しいの?」「実務ではどう使い分けるの?」そんな疑問を持つ薬学生・新人薬剤師さんにぜひ読んでほしい内容です。
0. 結論
Ccr:薬剤投与量の計算で主に使われる。体重測定などが必要であり、算出するのにひと手間かかる。
eGFR:慢性腎不全の診断に使われる。血液検査のみで計算可能。
1. まず知っておきたい「腎機能評価」の意味
腎臓は体内の老廃物をろ過して尿として排出する大事な臓器。
この「ろ過能力(=糸球体濾過量)」を調べるのが腎機能評価です。

薬剤師にとって重要なのは、腎機能に応じて薬の投与量を調整すること。特に細かい投与量調節が必要な薬剤(抗菌薬、抗がん剤など)は注意が必要です。
2. Ccr(クレアチニンクリアランス)とは?
● どんな指標?
Ccrは、「腎臓が1分間にどれだけのクレアチニンを尿に排泄できているか」を示します。
単位は mL/min。
● 計算方法
Cockcroft-Gaultの式
Ccr(ml/min)= (140 – 年齢) × 体重 / (72 × 血清クレアチニン値) × 0.85〈女性のみ〉
血液検査にプラスで体重測定が必要となります。(細かい腎機能調節が必要な薬剤を使用していない場合は、自己申告の体重でよいこともあります)
24時間蓄尿法
Ccr(ml/min)= 尿中Cr(mg/dL)× 尿量(ml/day)÷ 24(hr)÷ 60(min)÷ 血清Cr(mg/dL)
- 血液中のクレアチニン濃度
- 尿中のクレアチニン濃度
- 尿量(通常24時間尿)
この3つをもとにして求めます。
👉 実際に体から出た尿を使って測定するため、“実測値に近い”評価です。
● 特徴
- クレアチニンは腎臓でわずかに分泌されるため、実際の腎機能より高めに出る傾向があります。
- 血液検査に加えて、体重測定・尿測・尿検査などが必要。
3. eGFR(推算糸球体濾過量)とは?
● どんな指標?
eGFRは、血清クレアチニン値、年齢、性別から推算した腎機能です。
● 計算方法
GFR推算式
eGFR(mL/min/1.73m²)= 194 × 血清クレアチニン値⁻¹.⁰⁹⁴ × 年齢⁻⁰.²⁸⁷ × 0.739〈女性のみ〉
● 特徴
- 血液検査だけで簡単に推算できるので、健診や日常的な腎機能のモニタリングに向いている
- 単位は「mL/min/1.73m²」という体表面積補正済みの値
- 極端な肥満・痩せ体型の人、超高齢者は実際の腎機能から大きくズレることがある。
4. CcrとeGFR、なにがどう違う?
Ccr | eGFR | |
---|---|---|
計算式 | Cockcroft-Gaultの式 24時間蓄尿法 | GFR推算式 |
測定方法 | 尿+血液 or 体重+血液 | 血液のみ |
単位 | mL/min | mL/min/1.73m² |
評価の精度 | 若干過大評価 | 年齢・体格による誤差あり |
使用場面 | 薬剤投与量の計算 | 日常的な腎機能スクリーニング |
5. 実務での使い分け:薬剤師視点で考えよう
薬剤師としては、次のような使い方を意識しましょう。
● eGFRは「まずの目安」
- 外来患者さんや健康診断などでよく使われる
- 定期的な腎機能チェックに便利
- ただし高齢者や筋肉量の少ない人では過小評価されることも
● Ccrは「正確な投与設計」に
- 腎機能で用量調整が必要な薬を使うとき(例:抗菌薬、抗がん剤など)
- eGFRでは誤差が大きいと感じたとき
- 特にCockcroft-Gault式(コッククロフト・ゴールト式)で推算することが多い
Ccr = {(140-年齢) × 体重} ÷(72 × 血清Cr)※女性は×0.85
6. まとめ:CcrとeGFRの違いを押さえよう
視点 | Ccr | eGFR |
---|---|---|
実務での役割 | 薬剤投与量の決定 | 腎機能スクリーニング |
精度 | 実測に近いがやや高めに出やすい | 推算値だが使いやすい |
使いやすさ | 手間がかかる | 血液1本でOK |
注意点 | 高めに出る/尿収集が必要 | 高齢者や低筋肉量で過小評価 |
✔️ 最後にワンポイント
実習中や現場で「この患者さんの腎機能は?」と聞かれたとき、「eGFRは○○、Ccrは○○くらいなので、腎機能は軽度低下ですね」と説明できるととてもスマートです!
また、腎機能を基にした投与設計では”どの指標を根拠にしているか”をしっかり確認するクセをつけておくと、信頼される薬剤師になりますよ。