【新人薬剤師・薬学生向け】病院薬剤師が教える「服薬指導」の基本と実践ポイント
linze_neko
病院薬剤師Lの備忘録
今回は、新人薬剤師や薬学生の方に向けて、手術部位感染(SSI)予防のための抗菌薬使用について、現場で役立つ知識をまとめました。
「どの薬を、いつ、どれくらい使えばいいの?」
「投与終了のタイミングは?」
そんな疑問を一緒に解決していきましょう!
SSI(Surgical Site Infection)は、手術後に手術創や周辺組織に起こる感染症です。発症すると以下のような問題が起こります。
➡ そこで大切なのが「術前予防的抗菌薬投与」です。
SSI予防では、皮膚常在菌(ブドウ球菌など)をカバーできる抗菌薬が基本です。手術部位によって腸内細菌や嫌気性菌も考慮します。
術式の種類 | 主に想定される菌種 | 推奨抗菌薬の例 |
---|---|---|
清潔手術(整形外科など) | ブドウ球菌(皮膚常在菌) | セファゾリン |
下部消化管手術 | 腸内細菌、嫌気性菌 | セフメタゾール、メトロニダゾール |
婦人科手術 | 嫌気性菌 | セフメタゾール、セファゾリンなど |
手術直前~開始60分以内に投与するのが原則です。
静注後すぐに効果が出るため、手術開始の直前投与でOK。
薬剤 | 投与タイミング(目安) | 再投与の目安(長時間手術) |
---|---|---|
セファゾリン | 手術直前~開始60分前 | 3時間ごと |
メトロニダゾール | セファゾリンと同時またはやや前 | 8時間ごと |
体重 | セファゾリンの投与量 |
---|---|
80~120kg | 2g |
>120kg | 3g |
eGFR | セファゾリンの投与間隔 |
---|---|
≧50 | 3~4時間ごと |
20~50 | 8時間ごと |
<20 | 16時間ごと |
SSI予防の抗菌薬は、術後に継続投与する必要は基本的にありません。
術後投与継続の考え方 | 内容 |
---|---|
原則 | 術後24時間以内に終了 |
継続が認められる例 | 心臓外科など一部のハイリスク手術 |
➡ 無駄な抗菌薬使用は耐性菌のリスクを増やすので注意!
薬剤師が現場で確認・支援できるポイントはこちら!
A. セファゾリンが使えない場合は、バンコマイシンやクリンダマイシンを選択。
ただし、バンコマイシンは投与タイミングが早め(手術開始の1〜2時間前)なので注意!
A. セファゾリンと同様、手術直前~開始60分前が目安。
手術直前の一括投与でも問題ないことが多いです。
✨手術部位感染予防の抗菌薬使用の3原則✨
薬剤師として、術前予防的抗菌薬の適正使用に貢献することはとても重要です。
医師・看護師との連携を大切にしながら、安心・安全な手術医療を支えていきましょう!