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新人薬剤師・薬学生向け:SOAP形式のカルテの書き方をわかりやすく解説!

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はじめに

病棟業務や服薬指導、TDMなど、薬剤師がカルテに記録を残す場面は意外とたくさんあります。その中でも「SOAP形式」は、医療現場でスタンダードな記録の書き方です。

でも、いざ書こうとすると「何をどこに書けばいいの?」「これってS?O?」と悩むことも多いですよね。

この記事では、SOAP形式の基本的な考え方と、薬剤師が実際に使う場面での記載例を交えてわかりやすく解説します。

1. SOAPとは?

SOAPとは、以下の4つの要素から成り立つ記録の枠組みです。

S(Subjective:主観的情報)

患者さんやご家族が話したこと、訴えた症状などの「主観的な情報」を記載します。
例:

  • 「最近、朝の薬を飲み忘れることがある」
  • 「この薬を飲むと眠くなる気がする」

O(Objective:客観的情報)

実際に確認できる「客観的な情報」を書きます。
例:

  • バイタルサイン(血圧、体温など)
  • 血液検査結果
  • 服薬状況(服薬カレンダー、残薬)
  • 処方内容

A(Assessment:評価)

SとOをふまえた薬剤師としての「薬学的評価」を記載します。
例:

  • 飲み忘れによる効果不十分の可能性あり
  • 副作用(眠気)の可能性あり
  • 服薬アドヒアランス低下が懸念される

P(Plan:計画)

評価をもとにした「今後の対応や提案」を書きます。
例:

  • 服薬カレンダーの提案・説明
  • 医師への処方変更の提案
  • 翌日の再確認予定

2. SOAP記録の基本ルール

SOAPを書くときには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 簡潔でわかりやすく
    長々と書かず、要点を絞るのがコツです。
  • 事実と意見を分ける
    SとOは事実、Aは評価。ごっちゃにならないよう注意!
  • 略語や専門用語に注意
    誰が読んでもわかるように心がけましょう(院内で使われる略語のルールがある場合はそれに従う)。
  • 感情的な表現を避ける
    客観性を持った、冷静で専門的な記録を。

3. 実際の記載例(服薬指導場面)

ケース:高血圧の患者さんに対する服薬指導

S(主観的情報):
「朝飲むのをたまに忘れてしまうことがあります。」

O(客観的情報):
処方薬:アムロジピン5mg 1錠 毎朝
BP:150/92(病棟測定)
服薬カレンダー未使用

A(評価):
朝の服薬忘れによる血圧コントロール不良の可能性あり。アドヒアランス低下が懸念される。

P(計画):
服薬カレンダーの導入を提案。患者へ使用方法を説明し、理解得られた。明日以降の服薬状況を再確認予定。

4. よくある記載ミスと注意点

SOAPを初めて書くときにありがちなミスも紹介します。

ミスの例対応のポイント
SとOの情報が混ざっている情報の「出どころ」を意識して分類する
Aがただの感想になっている薬学的視点からの評価・推測を書く
Pがあいまい具体的な行動を書く(例:再確認、説明、提案など)

5. まとめ

SOAP形式を使いこなすことで、薬剤師としての観察力や評価力、チームへの情報共有の質がぐっと上がります。

初めのうちは短くてもOKです。まずは「S」「O」「A」「P」に分けて考える習慣をつけましょう。経験を積むうちに、自然とスムーズに書けるようになりますよ。

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病院薬剤師
2020年から病院薬剤師。
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